文化の日に本学で文京区主催の「朗読コンテスト」を開催
文化の日の11月3日(日・祝)、文京キャンパスのブロッサムホールで、文京区が主催する第13回「朗読コンテスト」の本選が開かれました。今年のコンテストには全国から9歳から84歳までの274名の応募があり、録音審査を通過した15名が本選に出場(体調不良で1名欠場)。最優秀賞を目指して約100名の観客を前に、情感豊かに文学作品を語り聞かせました。
このコンテストは、後半生を文京区で過ごした明治の文豪森鴎外の生誕150周年を記念して平成24(2012)年から始まりました。文京区の「文の京ゆかりの文化人顕彰事業」の一つです。文学部をもつ本学は初回から区と連携してコンテストの運営に携わってきました。
本選出場14名が6つの課題作から1作品を読み聞かせる
今年は、文京区にゆかりのある作家の泉鏡花『化鳥』、徳田秋声『蛍のゆくえ』、室生犀星『幼年時代』に加え、文京区との友好交流都市協定締結5周年を迎えた金沢市ゆかりの作家の五木寛之『私が哀号と呟くとき』、井上靖『しろばんば』、桐野夏生『桜』を合わせた6作品を課題作として選定。出場者はこのうちの1作品を選び、1人3分以上4分以内の持ち時間で朗読します。
23歳以下が対象の「青少年の部」6名と「一般の部」8名が、一人ずつブロッサムホールの舞台に立ち、作者の思いが伝わるように、一語一語情感豊かに作品の世界観を表現。登場人物ごとに声色を変え、緩急をつけて読み聞かせ、観客を物語の世界に引き込んでいました。
審査結果は次の通りです。
■青少年の部
【最優秀賞】三重県津市の池中あおいさん/朗読作品『しろばんば』
【優秀賞】東京都三鷹市の田崎友梨さん/朗読作品『蛍のゆくえ』
【優秀賞】東京都港区の沈瑒陽さん/朗読作品『桜』
■一般の部
【最優秀賞】栃木県宇都宮市の柏﨑陽子さん/朗読作品『桜』
【優秀賞】東京都羽村市の古澤寿実さん/朗読作品『私が哀号と呟くとき』
【優秀賞】東京都杉並区の杢代絵三子さん/朗読作品『幼年時代』
最優秀賞に「青少年の部」で選ばれた高校1年生の池中あおいさんは、放送部に入部した中学2年生から朗読に取り組んできました。「今日はただ表現することを楽しもうと思って臨みました。しみじみとした趣深さを表現できる朗読者になりたいと思っています」と授賞のあいさつで決意を語りました。「一般の部」の柏﨑陽子さんは10年ぶりの本選出場で最優秀賞に。「何の取り柄もない私が、子どものころから音読するときだけは、良い声だね、上手だねと先生にほめてもらえました。それで気を良くして今日に至っています。今年でとりあえずやめようと思った最後の応募だったので、ただただびっくりです」と喜びを語りました。
元本学教授でアナウンサーの広瀬審査員長 「朗読は『思えば出る』という気持ちが大事」
審査員長を務めた元跡見学園女子大学教授で、NHKアナウンサーだった広瀬修子さんは講評で、俳優の故宇野重吉氏に教わった「思えば出る」の言葉を紹介しました。
「登場人物の気持ちになり、深く思いを寄せること。それが朗読の最初の一歩です。読み出す前にその準備を整えて、何を読むべきなのか、何を客席に伝えるべきなのかと繰り返し考えながら読み進めていく。そういう心構えが必要なのかなと思います」と広瀬さんは語り、出場者の熱演を称えました。
朗読コンテスト本選はYouTubeの「文京区公式チャンネル」
https://www.youtube.com/@citybunkyotv/videos で2025年2月公開予定です。