理念・建学の精神
philosophy 跡見学園女子大学教育理念
創立者・跡見花蹊は、日本の誇る伝統文化を踏まえ、豊かな教養と自由な精神を持つ自立した女性を育てようとした。学祖の教育理念を継承する跡見学園女子大学は、時代と社会に対する深い洞察力を養成することが学問の府としての最大の社会貢献であると認識し、実践的な教養を備え、自律し自立した女性を育成するための教育・研究を実現する。
学祖跡見花蹊と建学の精神
跡見女学校の創立者・跡見花蹊は、教え子たちを実の娘のように慈しみ、女性として、人としてのあり方を教え導きました。女性の美徳や品格、 人生をよりよく生きるための知恵、学問や芸術を学ぶ姿勢、そして将来妻や母になった時の心得。花蹊の残した言葉は百年以上の時を超えて、今を生きる私たちの心にも響くものばかりです。

学長メッセージ
女性の自己実現のために
学長:小仲 信孝

跡見学園の創立者・跡見花蹊が跡見学校を設立した明治8年は、近代教育の黎明期でした。明治5年、日本における最初の教育法令として公布された「学制」では、国民皆学が謳われ、身分や性別を問わず同一の教育機会が提供されることになりました。
しかし実際には、女性たちは学ぶ機会を保障されてはいませんでした。男子の就学が優先される一方、「女子に学問は不要」という考えから教育の対象とはされず、女性たちの向学心は抑圧されていました。教育はむしろ女性を不幸にするという旧来の教育観が根強く存在していたのです。明治5年生まれの樋口一葉の最終学歴は小学高等科第4級です。母親の強い反対で進学をあきらめなければならなかったからです。「死ぬばかり悲しかりしかど、学校は止(やめ)になりけり」――その時の無念の思いを一葉は日記に記しています。
学制が制定されて間もないこうした時期に、私立の女子教育機関を設立した花蹊の英断は、時代に先駆ける画期的なものだったといえます。
跡見学園女子大学の教育理念の根幹にあるのは「自律し自立した女性」の育成です。創立者・跡見花蹊が女子教育の新しいステージを切り開いてから150年になろうとする今日、女性たちの学ぶ機会は保障されています。ただ、大切なのはそのことだけではありません。ひとり一人がそれをどう生かすかです。あらゆる場面で女性の活躍が求められる現在、どのような社会的存在として生涯を送るか、すなわちキャリアデザインする力を自ら磨いていくことが必要です。4年間の大学生活を通じて知の地平を拓き、新たな可能性の発見をめざしながら「自律し自立した女性」になるための学びの場となること、それが跡見花蹊の教育理念を継承する本学の使命と考えています。
わたしたちは今、コロナ禍のために、これまでの〈あたりまえ〉が通用しない状況に遭遇しています。従来の制度や価値観の変更を余儀なくされているといってもいいでしょう。教育も例外ではありません。学生たちがキャンパスに集い、ともに学び、語り合う、こうした〈あたりまえ〉が失われつつある困難な状況にあります。
思えば、幕末から明治へ、跡見花蹊の生きた時代も従来の制度や価値の転換を迫られる、まさに激動の時代でした。そうした時代状況にあって花蹊は前を見据え、女子教育における新しい価値=〈あたりまえ〉の創造に尽力しました。
本学もまた、昭和40年の創設以来、教育体制の整備に取り組み、平成14年には女子大学としてはじめてマネジメント学部を開設するなど、変化する時代に応じて改革を進めてきました。つねに女子教育に何が必要とされているかを見きわめ、女性の自己実現を後押しする。それは跡見学園女子大学にとって普遍のテーマといえます。
沿革
跡見学園は、創立者 跡見花蹊が東京神田中猿楽町に1875(明治8)年に「跡見学校」を開校したことからはじまり、知育だけでなく情操教育にも重きを置いた、跡見独自の教育方針を確立しました。1913(大正2)年に「財団法人跡見女学校」、1944(昭和19)年に 「跡見高等女学校」となり、1947年(昭和22)年に「跡見学園中学部」、1948(昭和23)年に「跡見学園高等学校」、1950(昭和25)年に「跡見学園短期大学」を設立。1965(昭和40)年に「跡見学園女子大学」を設立しました。

1965(昭和40)年 | 埼玉県新座市に「跡見学園女子大学」を設立。国文学科・美学美術史学科の2学科を設置。 |
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1967(昭和42)年 | 英文学科を増設。 |
1974(昭和49)年 | 文化学科を増設。 |
1992(平成4)年 |
新図書館完成。
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1993(平成5)年 |
2号館完成。
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1995(平成7)年 |
跡見学園開学120周年。
跡見学園女子大学創立30周年、花蹊記念資料館完成。 ![]() |
1996(平成8)年 | 花蹊記念資料館、博物館相当施設の指定を受ける。 |
1998(平成10)年 | マルチメディア教育センター設置。 |
2002(平成14)年 | 文学部に人文学科・臨床心理学科を開設。マネジメント学部マネジメント学科を開設。心理教育相談所を設置。 |
2005(平成17)年 | 跡見学園創立130周年。跡見学園女子大学開学40周年。 大学院人文科学研究科日本文化専攻・臨床心理学専攻を開設。 |
2006(平成18)年 | 文学部にコミュニケーション文化学科を開設。マネジメント学部に生活環境マネジメント学科を開設。大学院マネジメント研究科マネジメント専攻を開設。 |
2008(平成20)年 |
文京区大塚に文京キャンパスを開設。
3・4年生とマネジメント研究科院生は文京キャンパスで、1・2年生と人文科学研究科院生は新座キャンパスで学ぶこととなる。 ![]() |
2010(平成22)年 | 文学部に現代文化表現学科を開設。マネジメント学部に観光マネジメント学科を開設。 |
2011(平成23)年 | 大学本部を文京キャンパスへ移転。 |
2015(平成27)年 | 跡見学園創立140周年。跡見学園女子大学開学50周年。 観光コミュニティ学部 観光デザイン学科・コミュニティデザイン学科を開設。 |
2018(平成30)年 | 心理学部臨床心理学科を開設。 |
2022(令和4)年 | 新座キャンパスに学生会館完成。 |
1950(昭和25)年 | 跡見学園短期大学設立。文科[国文]、家政科[家政保健課程・生活芸術課程]の2学科設置[修業年限2年]。 |
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1952(昭和27)年 | 生活芸術課程を家政科から独立させ、生活芸術科を設置。 |
1982(昭和57)年 | 文科に英文専攻課程を増設。文科[国文専攻・英文専攻]となる。 |
1995(平成7)年 | 跡見学園短期大学を「跡見学園女子大学短期大学部」と名称変更。 跡見学園開学120周年。 |
2000(平成12)年 | 跡見学園女子大学短期大学部、創立50周年記念祝賀会、『跡見短大の五〇年』発行 |
2005(平成17)年 | 跡見学園創立130周年。 |
2007(平成19)年 | 跡見学園女子大学短期大学部閉学。 |