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2024年12月4日
授業 心理学部

【臨床心理学科】不妊治療に臨むカップルへの心理支援とは──外部講師による健康心理カウンセリングの授業

臨床心理学科の福島里美講師による11月29日の「健康心理カウンセリング」の授業で、日本ではまだ担い手の少ない生殖心理カウンセラーである公認心理師の戸田さやかさんを講師に招き、不妊の医学的背景や不妊治療を受けるカップルの心理、生殖心理カウンセリングの役割などについて、わかりやすくお話しをいただきました。

戸田さんは、妊活支援事業を展開する株式会社ファミワンのマネージャーとして不妊治療に関するセミナー講師などを務める一方、東京都内の不妊治療専門クリニックでカウンセリングに従事されています。

約100人の履修生に向けて戸田さんは最初に、妊活・不妊治療の現状を紹介しました。日本では4.4組に1組のカップルが不妊治療を受けており、体外受精などの高度な不妊治療によって誕生した赤ちゃんは全出生児の10人に1人、年間約7万人に上ること。不妊は女性の問題とされがちだが、実際は男性が原因のケースも多いことなどを、データを示しながら解説しました。

生殖心理カウンセラーの戸田さんの講義を熱心に聞き入る学生たち

 

諸外国と比べて日本は不妊治療のクリニック数は多いのに、体外受精による出生率が最低レベルなのはなぜか──。その要因として戸田さんは、できるだけ自然に妊娠したいという願望が強いことに加え、妊娠・出産というライフイベントと仕事のバランスが取りにくい社会であることを指摘。「結果的に不妊治療を始める年齢が遅くなってしまうことが要因として考えられるのではないか」と話していました。

続いて、生殖心理カウンセラーとして不妊治療中のカップルに、どのような心理サポートをしているのかを紹介。男女で異なる不安や悩み、二人の心のすれ違いによる怒りや孤独感などをなくすために、お互いを理解するコミュニケーションサポートやストレスマネジメントなどのカウンセリングによって関係が改善していったケースを紹介しました。

「カップルセラピーのセラピストは、二人が抱えている問題の『翻訳者』であり、『通訳者』の役割を担う人であると私は思います」と戸田さん。聴講する学生に、生殖心理カウンセラーの仕事に興味を持ってほしいと語りかけました。

授業の終わり10分間を学生からの質問に答える時間に充てましたが、すべてに答えきれない数の質問が集まるほど、学生たちは真剣に聴講していました。