2024年7月9日
【人文学科】学内の景物に気持ちを重ねて一首 「創作ライティング演習C(短歌)」授業の魅力を探訪
文学部人文学科の専門科目「創作ライティング演習C(短歌)」。
歌人であり、作詞家でもある佐佐木頼綱先生による短歌入門の演習授業です。
授業の目的は、和歌や近現代短歌作品を鑑賞し、その奥深さに触れることで、日本文化の美を体得することです。
半期にわたる講義も終盤となるこの日は、短歌の題材を求めて学生たちが、文京キャンパスの図書館や2号館の屋上を訪れ、気になった景物に自分の気持ちを重ねて抒情詩を作りました。五七五七七の三十一音で表現し、短冊に丁寧に書き入れ、作品を完成させます。
短歌を大学の講義で教えるのは初めてという佐佐木先生。「学生は意外にもすらすらと制作するんですよ」と机を回ってアドバイスの声をかけていました。
人文学科の3年生は「短歌に興味があったわけではないけれど、教職課程の一つとして受けてみたら面白い。難しいけれど、先生が優しく楽しく教えてくれます」と、短冊を手に考えを巡らせていました。
4年生の一人は、「教師を目指しているので履修しようと思いました。普段は短歌に触れる機会がないだけに、いろいろな技法を学んだり、感情を間接的に表現できたりするのが面白いです」と話してくれました。
それぞれの思いが込められた作品。そのうちのいくつかをご紹介します。
<屋上の歌>
「未だにさ、恋ってもんがわからない」 二人でわらう 夕空の下
よく冷えた パインソーダで ご褒美を エレベーターで 上る九階
<図書館の歌>
夕暮れの 書庫の奥に 潜んでる ひんやりとした 知の怪物
9類の 背表紙だけが 親友で 泣くの代わりに 読むをしたこと