2025年4月24日
現代文化表現学科の要真理子教授が『芸術を知らぬ建築家たちへ 寓話「カリフのデザイン」仕儀』を刊行

◆現代文化表現学科の要真理子教授の専門は、美学・芸術学。英米のモダニズム美術作品と、その言説に関わる研究をしています。要教授による書著紹介文です。
本書は、英国の画家にして小説家のウィンダム・ルイス(Wyndham Lewis, 1882-1957)の著作『カリフのデザイン(The Caliph’s Design)』(1919年)の翻訳です。
出版前にルイスは、副題の「建築家よ! 諸君の渦巻きはどこにある?(Architects! Where is your Vortex?)」の方を本のタイトルにしようと考えていました。そこでこの翻訳書は、編集担当者と相談し、原著者の意を汲んで、「芸術を知らぬ建築家たちへ」という題にしました。
1919年に書かれた英文ですから、日本の読者にはわかりにくい表現も少なくありませんでした。適宜訳注をつけ、本文の後ろに解説を書きました。文章も読みにくいし、絵もとっつきにくいと敬遠されがちなルイスですが、彼の作品には、英国文化の伝統と同時代のヨーロッパ芸術の先端的側面を見出すことができ、不思議と惹きつけられます。日本の読者にとって本書が、ウィンダム・ルイス、そして英国前衛芸術に少しでも関心をもっていただける機会になればと願うばかりです。
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国立西洋美術館の田中正之館長による本の帯の推薦文

刊行に至るまでにたくさんの方々にお世話になりました