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2025年7月17日
授業 観光コミュニティ学部

【観光デザイン学科】政府観光局の役割と活動をドイツ観光局のトップから学ぶ

観光デザイン学科の1、2年生が履修する7月4日の「比較観光産業史」の授業で、ドイツ観光局アジア地区統括局長で日本支局長の西山晃氏の特別講義がありました。テーマは「海外の政府観光局に学ぶ」。約30年にわたってドイツ観光局の仕事に携わる西山氏から、その役割や業務、活動内容などを学びました。

ドイツ政府や企業などからの助成金で運営されるドイツ観光局は1949年に設立。現在、世界19都市に在外代表部を構えており、日本支局は今年で開設51年目を迎えました。

組織のミッションは、ドイツを訪れる外国からの旅行客を増やすこと。そのために何が必要かについて西山氏は、「答えは単純明快。国のイメージを良くすることです。印象の悪いところにはだれも行きません。イメージとは漠然としたものですが、観光にとってはすごく重要なのです」。ドイツは第二次世界大戦のナチス政権下で、ユダヤ人を大量虐殺した負の歴史を背負ってきました。それだけに、国のイメージを上げる努力を重ねたそうです。

現在、外国人がドイツに持つ印象を聞いた調査では、「スポーツ」「ミュージアム」「音楽」「モダンデザイン」といった回答が多いことを紹介。また、文化、観光、輸出、統治、移住・投資、人材の6つ観点から、世界60カ国のブランドイメージを評価する「国家ブランド指数」で、ドイツは2022年まで6年連続で1位に。しかし、2023年調査では2位に順位を落しました。

西山氏は学生に「では、1位はどこでしょうか」と質問。フランス、イギリスといった名前が挙がるなかで、「答えは日本です。2010年代後半から徐々に順位を上げてきました。日本のランキングの上昇とインバウンドの増加は一致した動きにあります」と話し、観光にとって国のブランドイメージの重要性を学生に伝えていました。

政府観光局の仕事内容を学生たちに語る西山晃氏

 

ドイツ観光局が日本人に向けて重視する観光テーマは、「都市と文化」「宮殿と城」「食文化」「観光街道」の4つであるとし、中世が現代に息づく街並み、世界で3番目に多い世界遺産、多彩な食の魅力、グリム童話にゆかりの地を結ぶ「メルヘン街道」をはじめとした多くの観光街道があることを、写真を見せながら紹介し、ドイツ観光の強みを語りました。

最後に西山氏が話題にしたのはDMO(Destination Management Organization)の活動についてです。官民の連携によって、観光地や地域の観光業を支援する組織のことで、日本語で「観光地域づくり法人」と言います。海外からの訪日客や国内旅行客を増やそうと、日本各地で設立が相次ぎ、マーケティングを担う人材不足の状態にあると話しました。

「地方都市のDMO職員が観光客の誘致で、外国で開かれる商談会やワークショップにセールスで出向いたりしています。観光分野の就職先は企業だけでなく、私が働く政府観光局を含め、官民協働で働くDMOという面白い仕事があることを認識してほしいと思います」と語り、観光を学ぶ学生たちの視野を広げていました。