戦時下に生きた跡見女学校の生徒たちの声 小説『女の子たち風船爆弾をつくる』でよみがえる

2025年1月20日
  • 教育

1875(明治8)年に「跡見学校」として創立した跡見学園は今年150周年を迎えました。その長い歳月には苦難の歴史も刻まれています。

今から80余年前の第二次世界大戦下で日本は、ジェット気流に乗せてアメリカ本土直撃を狙う「風船爆弾」の製造を始めました。和紙をコンニャク糊で貼り合わせた直径10mにも及ぶ巨大な風船に、焼夷弾や爆弾を吊り下げた手製の武器。その作り手は、全国各地の女学生であり、その中に跡見女学校の生徒もいたのです。

風船爆弾の製造にかかわる史実を、本校卒業生や学校長の松井真佐美などに取材した小説家の小林エリカさんの最新作『女の子たち風船爆弾をつくる』(文藝春秋刊)がこのたび、優れた著作物を表彰する第78回毎日出版文化賞(文学・芸術部門)を受賞しました。

2024年12月19日にホテル椿山荘東京で開かれた同賞贈呈式には、
小林さんからの招待で松井と、取材に協力した跡見中高出身の社会科教諭・新貝妃奈子が招かれ、受賞をお祝いしました。


受賞した小林エリカさん(中央)を囲む教諭新貝(左)と学校長松井(右)


本書は、戦時下に生きた女学生たちが当時を「語る」スタイルで描かれた小説です。
跡見女学校の生徒たちは、製造工場となった東京宝塚劇場に勤労動員され、風船爆弾をつくっていました。
冬場の作業では、指ですくうコンニャク糊の冷たさで手を腫らし、それでも懸命に指を動かし続けたそうです。
中には過労と栄養不足で倒れる生徒もいました。

どのような思いで日々を過ごし、戦火を生き抜いたのか。
この小説から、80余年前に跡見生であった先輩たちの苦難の歴史と、平和の尊さを知ることができます。


伝統ある毎日出版文化賞の今年度の受賞者たち

 

■小林エリカさんの講演会を計画

『女の子たち風船爆弾をつくる』(文藝春秋、2750円)の著者である小林エリカさんを本校にお招きして、本書について語っていただく講演会を計画しています。詳細が決まり次第、お知らせします。

 

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