【新入生へのメッセージ】一歩踏み出す勇気を 

2020年5月27日
  • 大学

新入生へのメッセージ    一歩踏み出す勇気を

 

跡見学園女子大学学長     笠原清志

 

新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。そしてご家族の皆様にも、心よりお慶び申し上げます。跡見学園女子大学を代表して、皆さんの入学を心から歓迎いたします。

新型コロナウイルスの影響により、今年の入学式は中止することを決定しました。みなさんの気持ちを考えると大変申し訳なく思いますが、諸般の事情を考慮した苦渋の選択であることをご理解ください。今、私たちは不確実性の時代を生きるとともに、他方で新しい生き方と社会システムのあり方を求めて呻吟しています。今回のことが、「今、日本と世界で何が起きているのだろうか」「自分はこれからどう生きて行くべきなのか」といったことを考えるきっかけになればと願います。

 

1) 跡見花蹊先生の教育観

跡見学園女子大学の起源は、学祖、跡見花蹊先生が、大阪中之島に父、跡見重敬氏と共に私塾を開いた安政5年(1858年)に遡ることができます。日本における近代化が、まさに始まろうとする前夜の時期でした。明治維新後、東京に居を移した花蹊先生は、明治8年(1875年)に神田に跡見学校を設立し、それが跡見女学校に継承され、現在の跡見学園女子大学の礎になりました。

跡見花蹊先生の教育観には、「伝統を重んじつつ品性のある社会人の育成」、そして「実践的な教養を身につけ、自律し自立した女性」の育成といった理念があります。明治初期の、鹿鳴館時代にみられる、いわゆる文明開化に伴う風俗軽佻浮薄の風潮に対し、日本の伝統文化を踏まえた品性と教養の重要性こそ、花蹊先生が重視したかった点ではないかと思っています。私は明治という近代日本の黎明期に、花蹊先生がこのような先進的な、そして現在の日本にも通じるような女性観と職業観を持っていたことに、本学で教育、研究に携わる者として誇りを感じる次第であります。

 

2) 一歩踏み出す勇気を

人生の最も充実した、また最も恵まれた4年間を過ごす入り口に立っている皆さんに期待することがあります。それは、大学生として、常に主体的な学ぶ姿勢と知的好奇心を持って頂きたいということです。そして在学中にしっかりとした知識と教養を身につけるということが、人生の新しい扉を開くということになります。

そのためには、日々の日常性から「一歩踏み出す勇気」を持って頂きたいと思います。この未知のことに対して「一歩踏み出す勇気」こそ、新しい世界を経験する第一歩であると思っています。「一歩踏み出す勇気」こそ、それは未知の世界へ、そしてグローバルな世界への窓を開くことでもあります。「困ったなー、どうしよう」と何回となく自らに問いかけ、解決を見出すようとするところから、自らの内面との対話が始まります。

世界の先人達は、この「一歩踏み出す勇気」について次のように述べています。ドイツの文豪ゲーテは「何事も始めてしまえば、心は必然的に燃えてくる。そして続けていれば物事は成就するものだ」。また古代ローマの政治家、ルキウス・アンナエウス・セネカは、「難しいからやらないのではない。やろうとしないから難しくなるのだ」と述べています。  このような先人の言葉から考えますと、「一歩踏み出す勇気」とは、冷静に計算し合理的に考えた上での決断とは多少違うのではないかと思われます。むしろ、自分があまり自覚していなかったものが何かのきっかけで触発され、見えない糸で導かれるような形で一歩踏み出すというのが、現実なのではないでしょうか。

 

3) 出会いは偶然ではない

人と人との出会いは偶然のように見えますが、決して偶然ではありません。出会いとは、自分が大切にしていたものが何かのきっかけで触発され、見えない糸で導かれるような形で一歩踏み出した結果なのかもしれません。また、出会いは偶然であってもそこから何が生まれるかは、偶然ではない、ということです。学生生活では、「一歩踏み出す勇気」から学びが始まります。日本の文化を良く理解し、凛とした美しさを持ち、そして「自律し自立した女性」を目指して、これからの学生生活をスタートしてください。教養とは、多くのことを知っているという意味ではありません。真の教養とは、「自分を見つめるもう一人の自分を持つこと」ではないでしょうか。何が起こるか予測できない時代、つまり不確実性の時代にある私たちは、今まで以上に真の教養と自らの力によって個人を確立しなければなりません。

 

皆さんのこれからの成長を期待しています。以上をもちまして、歓迎の言葉に代えたいと思います。

 

おすすめの記事