おとずれ36 目次 / ご挨拶 / イベント / 支部会 / クラス会 / その他・編集後記

理事長就任にあたって

山崎 一穎

 跡見純弘理事長の後を受けて、この度10月1日付けで理事長に就任いたしました山崎一穎(学務担当常務理事兼跡見学園中学校高等学校校長、跡見学園女子大学客員教授)です。 山崎は平成15年4月から平成18年3月まで跡見学園女子大学短期大学部学長を務め、『おとずれ』紙上で私の経歴を語ったことがあります。

 跡見純弘先生は昭和62年三菱商事の常務取締役から学園の理事長に就任され、22年間経営の責任者として教育環境の整備に手腕を発揮されました。 しかも学祖跡見花蹊先生の一族としてその名に象徴される存在は大きなものがありました。
 その後任として職務の重大さを実感しています。 少子化の波、経済変動の激しい中で学園がその社会環境の厳しさに耐えつつ、改革を押し進めるために多くの人々の英知と経験をお借りし、集団指導体制で臨むつもりです。 それ故に、跡見前理事長には顧問に就任を戴きました。 そして学園の重要案件につき常務理事会に出席を戴き、新学務担当常務理事には女子大学の嶋田英誠学長に就任を願い、財務担当常務理事には引き続き吉田一惠氏に務めていただくことで理事会の承認を得ております。

学園経営と今後の展望

1.改革の先導者としての使命
(1)跡見学園が時代や社会の要請に応えられる教育研究を提供する組織体となっているのか。
(2)建学の精神をどう継承し、個性や特色ある私立学校としての存在の意義が発揮されているか。
 跡見純弘前理事長は、主として(1)(2)をハード面から整備してこられました。それを受けて私に課せられた課題は、ソフト面から再構築することだと考えています。 それは教育環境の一層の整備による教育の質的向上を経営側からどう保証していくかにあります。

2.ガバナンスの確立とリーダーシップの発揮
 経営基盤の確立のために管理運営制度の改善と常に公の場に於ける説明責任が要請されております。 現在理事長のもとで週一回開催されている経営会議は、(従来は各機関の長の会議)そのメンバーを拡大し、学内理事(大学2名、中高1名)を増員して構成します。 経営会議→常務理事会→学園の評議員会・理事会と積み上げて行きます。

 この様に管理運営の基盤を固めた上で経営の責任者として巨視的に言えば、建築のみならず、財務、人事等を含む学園のマスタープランの作成が必要であると考えています。 そのためには検討委員会の設置がもとめられます。当面の課題を次に列挙します。

(1)女子大学の文京キャンパスを以って、東京の大学に登記することの条件整備。
(2)女子大学の1号館の建て替えの検討。
(3)学生寮をどうするか、検討課題。
(4)中学校・高等学校の基礎学力の増進の方策如何。
(5)中学校・高等学校に於いては面倒見がよく、指導力のある教員が求められます。その「教師力」の向上のために経営側からどう助力、援助するか、検討課題。

 在校生・在学生・その保護者・校友会・後援会の諸氏の助言に耳を傾け、微力ながら職責を全うすべく努力いたします。

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理事長退任にあたり

跡見 純弘

 桃李の会の皆様、永い間の御協力本当に有難うございました。更めて厚く御礼申し上げます。

 皆様既に御承知の通り、9月8日開催されました第346回理事会に於いて私の理事長退任が承認されました。
 振り返りますと昭和62年6月24日の理事会で理事長に選任されてから22年が経過致しました。

 其の間関係の皆様の御協力、御支援を得て花蹊生誕150年を記念して策定された学園の改善、充実事業は畧々完全な型で完成出来たものと自負致して居ります。 その内容は大きく分けて教育施設の大幅な改善、充実と教育内容の拡充、強化であったと云えます。 前者では中学、高校校舎、体育館の全面的建替え、短期大学の体育館の建替え、新座の学生寮の新設(入居保証方式)をはじめとし、大学図書館、新教室棟の新設、更に新学部棟および「Kakei Memorial Hall」の建設、更に茗荷谷の短期大学部西館の取り壊しと、跡地に大学新学部棟の建設による大学文京キャンパスの完成が主たるものであります。
 後者については大学に新学部の創設、短期大学部の閉学、中学高等学校の活性化への取組といったものが主たるものであります。
 以上のようなハード、ソフト面の改革、改善により大学は「College」から「University」と発展したばかりでなく、念願であった首都圏に拠点を持つ大学として内外の評価を高めたと思います。
 その結果、中高を含め一時やや不安視された学園の名門校としての評価も可成り回復出来たものと思われます。

 以上の結果、私が就任した時点と比して学園は大きく様変わりし、之からの厳しい環境にも耐え得る基礎はしっかりと築けたものと思います。

 現在の環境を眺めてみますと世界規模で経済の大きなトラブルに見舞われて居り、将来展望は悲劇的側面が強く、吾国に於いては丁度政権交替の真っ只中にあり、更に少子高齢化の急速な進行、新型インフルエンザの大流行等もあり、予想される教育界に及ぼす影響は全く予測不能であります。
 併し乍ら、どの様な厳しい環境であろうと学園は従来やってきた改善改革の勢いを以ってのぞめば必ずや困難を乗り切って行けるものと確信致して居ります。
 校友会の皆様には、学園の目指す方針に対し、引き続き御理解、御協力を頂きたく、又山崎新理事長に対しても私同様の御協力頂きたく、特に御願い申し上げます。

 理事長の職を辞する事には淋しさがある事は申す迄もありませんが、他方私としては在任中に大きなトラブルもなく無事に新しい世代に引き継ぐ事が出来、大変嬉しく思うと同時にホッとしたと云うか安堵の気持ちが強いのが正直な心情です。

 最後になりましたが、桃李の会の益々の御発展を祈念し、私の御別れの言葉と致します。
 重ねて申し上げます。永い間有難うございました。

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桃李の会 60周年記念によせて

ごあいさつ

幹事長 萬葉 洋子

 卒業生の皆様お変わりなくお健やかにお過ごしのことと存じます。

 今年は、兼ねてより皆様にお知らせしておりましたように、短期大学の前身である専攻科が昭和24年(1949年)に創設されて60年を迎える年にあたり、それを記念して8月1日(土)にホテルニューオータニ「鳳凰の間」に於いて、跡見純弘理事長様、嶋田英誠女子大学学長先生、山崎一穎中学校・高等学校校長先生をはじめとするご来賓の皆様、250名の卒業生の方々にお集まりいただき、楽しく和やかな「60周年記念同窓会」を開催することができました。 これもひとえに卒業生の皆様の母校を思う熱い気持ちがひとつになったあらわれと感謝しております。

 本号『おとずれ』36号では当日の模様を特集し8月1日の楽しい一日を思い出し、また当日やむなく出席できなかった方々にもスナップ写真をご覧いただき、当日の雰囲気を味わっていただきたく編集いたしました。

 当日のアンケートのご回答の中にも、女子大学の茗荷谷新校舎見学の希望の声が多くありましたので、平成22年度の桃李の会総会は、茗荷谷校舎にて行い、後日校舎見学を企画しております。 クラス幹事以外の皆様で見学を希望される方は、桃李の会会室にご連絡ください。 また、アンケート結果で多くの皆様が次回の同窓会開催を望んでおられることがわかり、十年後では、時間が経ち過ぎるため、五年後を目安に私達常任幹事一同計画を立てていく所存です。

 今後も卒業生の皆様と常任幹事を結ぶパイプは『おとずれ』でございます。どうぞ目を離さずに必ずご一読ください。楽しい企画がきっと見つかることと思います。

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桃李の会 創立60周年

顧問 跡見 純弘

 桃李の会の皆様、創立60周年、誠におめでとうございます。63年前、桃李の会の母体である短期大学とその前身・高等女学校専攻科は、先の大戦後の大きな混乱の中からスタートし、女性の社会進出を先導しつつ、多くの優秀な卒業生を輩出して、最高レベルの教育機関として輝かしい実績を残してまいりました。

 しかし、教育分野が限られた短期大学は、価値観の多様化や企業の採用方針の変化に伴う、女子の四大志向や共学志向の高まりを受けて、平成19年3月には、その教育資源を女子大学と一体化して活用するために閉学となりました。 短期大学を残せなかったことは、大変残念ではありましたが、このことは、学園の女子高等教育を守り、その競争力を高めるための、まさに生き残りをかけた、未来志向の選択でありました。

 このような学園の女子高等教育の変化の中にあって、桃李の会は、母体の短期大学の社会的名声とともに、組織の整備を進めて発展してこられました。

 今、学園は、女子高等教育の競争力を一段と高めるために、短期大学から受け継いだ教育資源を最大限に活用して、女子大学の改革を推し進めております。 平成18年度は、短大定員を活用してコミュニケーション文化学科と生活環境マネジメント学科を設置し、平成20年10月には、短大キャンパスをリニューアルして大学文京キャンパスを開設し、女子大学は都心に拠点を持つ大学となりました。

 これらは、短期大学の実績なしには展開することができない改革であり、その精神は、花蹊以来134年の歴史の中に今も、脈々と引き継がれております。 桃李の会におかれましては、今日までの伝統を保ち続けるとともに、今後は、学園の女子高等教育を支える卒業生の会としても、引き続き学園発展のために、ご理解ご協力を賜りたく、心よりお願い申し上げます。

 私は9月末日をもって理事長を退任することと致しました。今日までの永い間、私に寄せられた皆様方のご協力・ご支援に改めて御礼申し上げまして私のご挨拶と致します。

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ごあいさつ

跡見学園常務理事・跡見学園女子大学学長 嶋田 英誠

 桃李の会の皆様、創立60周年、誠におめでとうございます。

 三年前のホームカミングデーで名残を惜しんで頂いた西館は、順調に再建が進み、9階建てのエレガントなビル(現2号館)に生まれ変わりました。この新校舎は、早速に、地域の町並みにふさわしい景観を作り出した建物として、文京区の「景観創造賞」を受賞しました。この上なくうれしいことです。

 建物は、学び舎であるとともに、コミュニケーションの場として設計しました。最上階に作った、ラウンジとしても使える多目的室や、その外の屋上庭園は、必ずや皆さんにも喜んでいただけるものと思います。高台に立つ新校舎からの眺望は360度、東京の街並みを一望のもとに目に収めることができます。

 私は、この御挨拶をもって、母校から皆さんへの御招待状としたいと思います。大塚のキャンパスは皆さんの母校です。装いを改めた母校をいつなりとも訪れていただき、これからもここに学ぶ後輩たちを見続け、励まし続けてやっていただきたいと心から願っています。いつでも帰ってきてください。

 皆さんお一人お一人が母校を訪れてくださる日、それこそがひとつひとつのホームカミングデーだと思っています。

 山下会長のもとに集う校友会、萬葉幹事長のもとに集う桃李の会の御活動が、末永く益々盛んでありますように、祈念申し上げます。

(8月1日御挨拶要旨)

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祝詞 ~姉の力を寿ぐ~

理事長・跡見学園中学校高等学校校長 山崎 一穎

 桃李の会の創立60年、おめでとうございます。
この記念すべき時にお招きを戴きお礼を申し上げます。
60年と言えば、先輩と後輩の年齢差が60と云うことです。年齢差に加えて、多数の会員をまとめ運営をしてこられた歴代の幹事長並びに幹事の方々に敬意を表します。

 私は平成15年(2003)から18年(2006)まで、短期大学部の学長を勤めました。嶋田英誠女子大学学長が短期大学部の教育資源の有効な活用と云うお話をなさいましたが、その一例をお話いたします。

 短期大学部は小倉百人一首のみならず、異種百人一首など約2500種の百人一首を所蔵しています。コレクション数では日本一です。 任天堂の山内会長が私財10億を投じ、平成18年(2006)に小倉百人一首の殿堂「時雨殿」を嵐山の麓、渡月橋を渡った所に建ち上げました。 この「時雨殿」に付随して「小倉百人一首文芸苑」と称して、嵐山・嵯峨野に百人一首の歌碑が建っています。 百首の内二首が短期大学が所蔵しているコレクションから選ばれています。歌碑の裏面に所蔵大学名が記されています。是非、探索して見て下さい。

 最後に《姉の力》と云うことを申し上げます。
森鴎外の小説に『山椒大夫』があります。姉の安寿は過酷な運命を英知で切り拓きます。ここに《姉の力》が発揮されます。 桃李の会のみなさんも《姉の力》を発揮し、今後とも妹達をお導き下さいますことを祈念し、挨拶といたします。

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