今、女子大学を取り巻く環境は大きく変化しています。
大学が自ら、己の存在価値を世に問うていかなければ生き残れない時代を迎えています。
女性の社会的役割も拡大し、経済の重要な担い手として欠かせない存在となっています。
また、学生の大学教育に対するニーズも多様化しています。
こうした時代に本学はどうあるべきか。
徹底的に議論するために、私たちは平成9年にプロジェクトチームをスタートさせ、大改革のグランドデザインを描きました。
根本においたのは、花蹊先生の建学の理念です。
花蹊先生は130年前の時代の中で、女性の個としての自立をめざし、自己実現に必要な教養教育として漢文や絵画、点茶などを取り入れた独創的なカリキュラムを創始しました。
では、その理念を現在の社会に於いて実現する教育は何か。議論の末に得た結論が、平成14年から実施されている、学部の大幅な改組・新増設であり、社会に開かれた存在としての大学の再構築です。
この春、改組後の学部から初めての卒業生を送り出しました。
その就職実績は好調であり、改革の成果の大きさを物語っています。
昨年、新座市との連携プログラムが文部科学省から「現代GP」の認定を受けたのも、新しい教育の実績が評価されたものと言えます。
なお、この改革には短期大学部の門を閉めるという、大きな痛みも伴っています。
短期大学部は跡見学園の栄光の歴史の一翼を担うものであり、最後の卒業生には、その伝統を誇りとして巣立っていけるよう、全力でバックアップしていくつもりです。
ただし、短期大学部の伝統、人材、教育的資産は次代に継承され、女子大学における新しい教育に活用されていきます。
その意味で、短期大学部は跡見の高等教育の新しい歴史の中に生まれ変わるのだと、私は考えています。
茗荷谷キャンパスも新たな役割を担うことになります。
今春からは大学院マネジメント研究科がスタートしました。
リスクマネジメントを踏まえたトータルマネジメントの教育研究を行う大学院で、既に大学を離れた方にも高度な生涯学習の場として魅力的な教育を提供できるものと確信しています。
思い出深い西館も建て替えとなり、大学3・4年生用の校舎として生まれ変わります。
茗荷谷は学生が社会に直に触れる窓として、最良の環境にあります。
私たちはこれも、跡見の教育資産として有効に活用していきたいと考えています。
女子大学は今後、社会に開かれた存在としての性格を強めていくことになるでしょう。
学生たちも、キャンパスにいながらにして社会の成員であることを実感し、女性としての自己の確立、自己実現のために必要な真の教養を学んでいくことになります。
皆様には、そうした学生たちを応援していただけますよう、心よりお願い申し上げます。