PROFILE

池上 高志 教授

Ikegami Takashi
所属  情報科学芸術センター
専攻分野  複雑系の科学、人工生命
池上 高志

研究のテーマと内容

AIには、意識があるのか。生きているのか。そもそも
生きている、とは何でしょうか。
自分で動くこと? 学ぶこと? 予測できないこと? それとも、
自分自身の目的をつくることでしょうか。
いま、世界中でAI研究者は悩んでいます。

私は「人工生命」と「複雑系」を研究しています。
私たちの身体は膨大な数の細胞からできていますが、一つひとつの細胞を調べるだけでは、「生きている」という状態そのものを説明することはできません。脳も同じです。無数の神経細胞が結びつき、相互作用することで、記憶や知覚、意識のようなものが立ち現れます。
このように、要素そのものにはない性質が、互いの関係や相互作用から生まれてくる現象を考えるのが「複雑系」です。
コンピュータシミュレーションやAI、ロボットを使いながら、「生命はどこから生まれるのか」「知能とは何なのか」を研究しています。ヒューマノイド《Alter》を使った研究やアート作品の制作も、その実験の一つです。
科学なのか、芸術なのか。
その境界そのものを問い直すことも、研究だと考えています。
著書:人間と機械のあいだ(講談社 2016年)、作って動かすALife (O'Reilly Japan 2018年)

私のON・OFF

ON担当科目の紹介

著書:作って動かすALife (O'Reilly Japan 2018年)

著書:作って動かすALife (O'Reilly Japan 2018年)

AIは生命になれるか? ―― 複雑系から世界を見る

AIは生命になれるか? ―― 複雑系から世界を見る

ChatGPTのようなAIが急速に広がり、私たちはいま、「知能とは何か」をあらためて問われています。しかし、この授業で考えたいのは、AIの使い方だけではありません。細胞の集まりは、なぜ一つの生命として振る舞えるのか。脳から「私」はどのように生まれるのか。単純なルールから、予想もしなかったパターンは生まれるのか。AIは本当に考えていると言えるのか。一見ばらばらに見えるこれらの問題を、「複雑系」という考え方でつないでいきます。正解を覚える授業ではありません。「それって本当だろうか?」「そもそも、その問いの立て方でいいのだろうか?」そんなふうに、当たり前だと思っていた世界を少し違った角度から眺めてみる授業です。

OFF興味と関心

科学者とアーティストは、一見まったく違う仕事をしているように見えます。でも、どちらも「まだ誰も見たことのないものをつくる」という点では、とてもよく似ています。 面白い研究は、研究室の中だけから生まれないです。遊びましょう。

学生時代の思い出

学生のころは物理学を学んでいましたが、興味は物理だけにはとどまらず、生命、数学、哲学、文学、コンピュータ……。広がっていきました。
また「これは自分の趣味ではない」と決めてしまわず、とにかく首を突っ込んで見ることが大事で、苦手なものが得意になったりする。意外なものに興味が湧くものです。
大学に入って一番面白いことは、自分がそれまで知らなかった世界に出会えることだと思います。
そして、そのうちに「自分は何を知りたいのか」という問いが少しずつ見えてきます。

受験生に一言

これからは、AIが多くの「答え」を教えてくれる時代になります。
だからこそ、人間にとってますます大切になるのは、
まだ誰も答えを知らない問いをつくること。
「生命って何だろう」
「知能って何だろう」
「人間って何だろう」
そんな、一見すると答えのなさそうな問いを面白いと思える人と、一緒に考えてみたいと思っています。