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桜まつり特別展開催

2018年4月4日

3月24日の桜まつりにあわせて新座図書館展示室にて特別展を開催しました。
満開の桜が迎える中、多くの皆さんにご覧いただきました。
かるた愛好会の学生が選んだ展示品について文学部の岩田教授がレクチャーしてくださった様子をあわせてパネル展示しました。

 
 

【岩田教授の「百人一首」特別講義】
 於 新座図書館1階展示室

 
 

筑波嶺(つくばね)の 峰より落つる 男女川(みなのがは)
   恋(こひ)ぞつもりて 淵(ふち)となりぬる

 

岩田教授:はい、それではこの歌は誰の歌でしょうか?
学生A:陽成院の「つくばねの……」です。
岩田教授:そうですね。では、どういう歌だと思いますか?
学生A:「恋ぞつもりて」とあるので、恋の歌だと思うんですけど、「つくばねの」と入っているので、地域の人の恋の歌かなと思っているんですけど。
岩田教授:そうですね。「つくばねの」とあるので、筑波山から流れ落ちる男女川の流れが深い淵となるように、恋の思いが深く募ってくるという意味です。百人一首の絵は普通は、そうした歌の意味が描かれるわけですが、しかしこの絵を見てもそんな歌の意味はどこにも描かれていませんよね。
実は、この絵は通常の歌の意味を描くのではなく、江戸風のアレンジを効かせた描き方をしています。この絵の女性はこういう人だと思いますか。
学生B:振袖を着ているので今の二十歳ぐらいの女性かなと。
岩田教授:うーん、二十歳まではいかないでしょう。昔の子供は成長するに従って着物を買い換えるのではなく、大きな着物を着てそれを短く縫い上げていました。成長するとだんだんその縫い上げを下ろして長くします。ですから一着の着物がずーっと着られるんです。この絵を見ると、そういう縫い揚げをしていません。しかし前髪にリボンを結んでいますね。これは一人前の女性はしません。ですから、まぁ成長が止まった16,7才くらいでしょうかね。あとは?
学生A:羽子板を持っています。
岩田教授:そうです!これは羽根突きをしている女の子です。「羽を突く、つくはね、つくばね、筑波ね」で、歌の「つくばね」に掛かっています。それで、この女の子の名前は?
学生A、B:
岩田教授:そんなこと分かりませんよね。しかし、この絵ではそれが分かるんです。着物の柄を見て下さい。
学生A:あっ、鶴です。
岩田教授:そうです!だからこの子の名前は「おつるちゃん」なんです。昔の女の人の名前は仮名2文字だったんです。「てる」とか「まつ」とか。それで呼ぶときは、「お」を付けて「おてる」とか「おまつ」とか呼ぶわけですね。ですから、「つる」の場合は「おつる」ちゃんとなるわけですね。それで、羽根突きは相手がいるわけですが、相手は?
学生A、B:
岩田教授:実は「おみねさん」なんです。
学生A、B:えっー?
岩田教授:それで、この二人は姉妹だったんですが、妹のおつるちゃんは姉のおみねさんより羽子板が上手なんです。つまり、「突く羽根」では、「みねよりも、おつる」なんですね。で歌の「つくばねの、みねよりおつる」に掛かっています。
学生A,B:あー、なるほど。
岩田教授:なんだか、めちゃくちゃみたいですが、実はこれは、有名な戯作者の山東京伝という人が、「百人一首」を面白おかしく注釈した本があって、そのなかの陽成院の歌の解釈に出てくる話なのです。それを、この絵を描いた豊国が知っていて、それに基づいて「羽根を突く」女の子を描き、その子の着物の柄を「鶴」にしたわけです。京伝は、つるのほうが羽根突きが上手だとは言っていませんが、みねよりもつるの方が美人だったんだと言っています。それで殿様に見初められて御妾さんになり、男の子をもうけて、おつるの父親はお手当=扶持(ふち)を貰って裕福に暮らしたということにしてあります。「ふちとなりぬる」というのはそのことを言っているというこじつけです。
和歌の本来の意味は別にあるのだけど、それを江戸時代にはこうふうに面白おかしくアレンジして楽しんだわけです。
というのも、元の意味は充分にみんな知っていたという下地があり、それだからこそ遊ぶ余裕があった。その滑稽解釈に基づいて浮世絵師の豊国が、羽根突きをするかわいい女の子を多色刷りで綺麗に描いています。
江戸時代の日本の教養の深さと遊び心のわかる百人一首ですね。
  
 

つくばねの②たて

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