このたび、跡見純弘前理事長の後を受けて、理事長に就任いたしました山崎一穎です。
跡見前理事長は、財界出身ならではの優れたマネジメント感覚と、創設者・跡見花蹊先生の一族という強力な存在感を持って、学園の教育環境の整備に心血を注いでこられました。
この22年間に、中学校高等学校、短期大学、大学の教育環境が飛躍的に充実したのは、前理事長のご尽力の賜物といえるでしょう。
少子化の波は否応なく押し寄せています。政権交代によって、高校の授業料無償化や教員免許更新制の廃止など教育政策の転換も図られようとしています。
このように教育をめぐる社会環境が激変する中で、前理事長の残した功績を受け継ぎ、跡見学園をさらに発展させるためになすべきことは「教育の質的向上」だと私は考えています。
学園全体が共通の意識の下に強固な組織体として機能するとともに、建学の精神を現代に生かしながら、存在意義の高い私立学校としての個性や特色を打ち出していかなければ、厳しい環境の中で生き残っていくことはできません。
そのためには、教育の質的向上を財政面から保証する、確固たる経営基盤を確立することが大前提となります。
具体的な方策として、まず毎週1回行われている経営会議を学内理事者会議と位置づけて学内理事を増員し、さらに原則として月2回、常務理事会を開催し、今後の学園の経営や運営の方針について検討していく所存です。
常務理事会には顧問に就任いただいた跡見前理事長にも出席を願い、助言を賜りたいと思っています。こうした集団指導体制により、ガバナンスの基礎を固めたうえで、次のような課題に取り組んでいきたいと考えています。
第一は、2008年度の文京キャンパス始動に伴い、女子大学を名実ともに"東京の大学"とするために登記に向けての条件整備を行うことです。第二は、建築から50年が経とうとする新座キャンパス1号館の建て替えです。第三は、中学校高等学校の校舎のメンテナンスです。
これら学園全体のハード面の整備強化に加えて、中学校高等学校の教員の「教師力」を高めることも緊急の課題です。
確かな基礎学力を身につけ、高等教育機関へ進学させるという保護者の皆様の要望に応えるには、面倒見がよく、高い指導力を備えた教員が求められます。
そうした教員の養成に向けて、経営面から支援していくことは、「学校力」の向上にもつながるはずです。既に先行している大学と同じように、中学校高等学校でも教育内容や学習環境に関して自己点検・評価を行い、その結果を学内外に公表していくことも必要です。
こうした課題を確実にこなしていくには、長期的なマスタープランの作成が不可欠です。そのための検討委員会を早急に設置することも課題の一つです。